僕と誰かの日常の記録/妄想文章

個人的なブログ。永遠のど素人が一級建築士試験を受けてみた。小説や映画の感想。思いつきで書く創作的文章など。

駄文、作文

宅配

配達の男の人から小ぶりなダンボール箱を受け取って、玄関のドアは早々に閉まった。がちゃん。ふたたび、空間は静寂に包まれた。配達の彼と、一瞬だけ目が合った。 彼は何か困惑したような表情を見せたけれど、すぐさま営業用の笑顔に修正したようで「ありが…

配達

今日、荷物を配達したアパートで奇妙な体験をした。「配達ご苦労さまです。ありがとうございます」そのひとは、懇切丁寧に僕に頭を下げてダンボールの箱を受け取った。賞状の授与式かなんかかよ、と、だるかった卒業式の風景を思い出した。「ありがとうござ…

これは恋じゃない

ある女の子と肉体的な接触をしたとき、 その一時間後にはすでにほとんどなにも後味が残らなかった。彼女も僕との出来事を、それと同じに捉えている。 そうだったら、辻褄が合う。彼女にとって僕はたまに会うコンビニの店員と同じくらいの存在でしかないよう…

真夜中にベルが鳴る 2

そう問いかけると、彼は、卑屈そうな顔で笑った。「待ってるけどさ、来ないんだよな」蚊の鳴くような声。つよがりでさえない。これは恋愛系を強烈にこじらせた症状だと、僕は思った。「おまえ、ひょっとして好きな人とかできたの」彼は目を合わせず、独り言…

真夜中にベルが鳴る 1

深夜に鳴動する携帯電話の着信が、まるで救いの音色のように聞こえたことはあるだろうか。10年も前の話をふと思い出してこの文章を書いている。その日、僕は下北沢の大衆居酒屋で友人と飲んでいた。 彼とは同じタイミングで上京してきてから、くだらないこと…

硬球と彼女 1

あるボクシング選手が、たったいま世界王者になった。僕はそれを、点けていたテレビの画面越しに眺めていた。 ボクシング選手はリングを囲む大勢の、ほんとうに大勢の人の喝采を中央で浴びて、目を潤ませてなにやら感謝の言葉を言った。リングの上から視線は…

妄想文章

たしかに、からだはつながった。 どろどろな時間をすごした、ひとつになれたと思った。 でも、あの人が玄関のドアを開けて出ていってから2時間がたって、完全にはひとつになれないって知った。 テレビを点けた。どうでもいい人がどうでもいいことを話してい…

恋煩い

僕の嫌いな人。その圧倒的第一位は、無神経な人。人からこう見られたい。 相手はどう思っているか。 願わくば可も不可も無いくらいでいいので好感を持たれたい。 すこしは話がわかるやつだと思われたい。 間違っても嫌われたくない。こわい。 そんな気持ちが…