僕と誰かの日常の記録/妄想文章

個人的なブログ。永遠のど素人が一級建築士試験を受けてみた。小説や映画の感想。思いつきで書く創作的文章など。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

宅配

配達の男の人から小ぶりなダンボール箱を受け取って、玄関のドアは早々に閉まった。がちゃん。ふたたび、空間は静寂に包まれた。配達の彼と、一瞬だけ目が合った。 彼は何か困惑したような表情を見せたけれど、すぐさま営業用の笑顔に修正したようで「ありが…

映画【モテキ】再視聴。

若さとは遠くになりて想うものなんてね。タイトルにあります映画版モテキ、公開当時に一度視聴しているんですが、アマゾンプライムに出てきたのでその日の気分で再視聴。何年越しなのだろう。本当は【願い】という映画を観ようと思っていたのだが、重い内容…

配達

今日、荷物を配達したアパートで奇妙な体験をした。「配達ご苦労さまです。ありがとうございます」そのひとは、懇切丁寧に僕に頭を下げてダンボールの箱を受け取った。賞状の授与式かなんかかよ、と、だるかった卒業式の風景を思い出した。「ありがとうござ…

さあ、始めようか(tofubeatsのRUNを聴きながら決意する)

ここで僕の近況を久々に。コロナウイルスの影響で受注は絶望的になった2020本当に状況がまずくなった頃、 ウェブサイトを刷新してインターネット上でのアピールに勝負を賭けようと動いた。 どうにもこうにも、そうしないことには顧客との接触の機会がない。…

これは恋じゃない

ある女の子と肉体的な接触をしたとき、 その一時間後にはすでにほとんどなにも後味が残らなかった。彼女も僕との出来事を、それと同じに捉えている。 そうだったら、辻褄が合う。彼女にとって僕はたまに会うコンビニの店員と同じくらいの存在でしかないよう…

真夜中にベルが鳴る 2

そう問いかけると、彼は、卑屈そうな顔で笑った。「待ってるけどさ、来ないんだよな」蚊の鳴くような声。つよがりでさえない。これは恋愛系を強烈にこじらせた症状だと、僕は思った。「おまえ、ひょっとして好きな人とかできたの」彼は目を合わせず、独り言…

真夜中にベルが鳴る 1

深夜に鳴動する携帯電話の着信が、まるで救いの音色のように聞こえたことはあるだろうか。10年も前の話をふと思い出してこの文章を書いている。その日、僕は下北沢の大衆居酒屋で友人と飲んでいた。 彼とは同じタイミングで上京してきてから、くだらないこと…

百円の恋

好きな子にそっぽ向かれても、 友達に裏切られても、 自分にはこれがあるんだと、 根拠のない希望を妄想で膨らまして、 生きることができた。それは時には、 音楽だったり、 小説だったり、漫画だったり、 映画だったりした。なにかに没頭するとき、 呼吸が…