バッドエンドでしか終われない、それが僕という人間
回顧する。
昔のことは色々あった。
ここでやめとけば、形の上ではハッピーだったのにな、ってことたくさんある。
欲が出てしまったとか、おさまりがつかなかったとか、踏みとどまれない要因はなんだかいつも似て非なるもの。
もう少し先の未来を追及してもいい気がして、もしくは追及しなければ一生後悔しそうで、分岐する道を曲がった。
もう戻れない一方通行の道を深く考えもせずに。
それは恋だったり、仕事だったり、それとは別の人間関係の何かだったりする。
建築の道なんて目指さなければよかったと思った日もあったし、その先の今でもまだ悩んでいる。自分は一体なんなのだと。これは進行形だ。
片想いのあの人と、もうこれ以上逢えないと云われて綺麗な言葉を掛け合って別れた。
その夜の数ヵ月後、アルコールの摂りすぎで勢い余って押したダイヤル。見苦しい言葉を受話器越しに発した僕の向こう側で、彼女は何を思ったのだろう。
ささいなことばかりだけれど、色々あった。
なぜここにきて思い出すのだろう。
昔、会社の上司の人間的に下卑た行いを目の前にして、何も行動することができなかった。黙っていた。収入が絶たれることが怖かった。
僕は会社を辞めることで独り善がりの贖罪になると考えたのかもしれない、若しくはただ逃げたかったのかもしれない。そして僕の無意識の狙い通り、会社から離れることが記憶に被せる蓋となった。のうのうと生きている。
悔やむことはありすぎるけれど、幸い、僕はまだ生きていて、僕の周りの出来事や人々もまだなにも終わっていないことを、感じることができている。
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