時の流れは激しくて、
久し振りに雨が降った。でも雨が降って気分が浮かれるなんて、なんか奇妙だなと思った。
だいたいの場合、雨は憂鬱の象徴だ。それも誰かによって固定された観念かもしれないけど。
雨には心を落ち着かせる精神的効用がある。
なんとなく少しぐうたらしていても許される気がする。雨を理由にして断れる予定もたまにはある。
引きこもる免罪符にもなる?
街の人の動きがなにかスローに見えて、そんなのがなんとなくほっとするのかも。
…なんて文章を、疲れた日に独り言のようにノートに書きなぐっていたのを発見した。ちょうど一年前だ。
それからすぐに、雨どころではなく、事態は一変したのだ。
その頃の僕にはもちろん知るよしもない。。
数ヶ月、飲みにも出掛けず買い物もネットで解決する日々を送っていたのだけれど、それはそれでインドアな僕にはむしろ快適だった。
しかし、カレンダーを捲る手を止めて、微かな違和感を抱く。
なんだと?
もう、6月だと?
時をぶっとばされたような圧倒的速さを感じた。
最初、単純に僕が年をとったから、日に日に加速する時間の体感速度がついにここまでスピードアップしたのかと思っていた。
しかし、そうじゃない。
これは他の何かが関わっている。
学生の時よりも今の時間の流れは確実に早い。
経験したことが増えるこの頃、心配事はなんとかなるだろうと図太くなり、代わりに未知の明日にわくわくすることが減った。ルーティンが確立され予定外の出来事は減った。単純化していくと体感時間は早くなる。
でもこの体感速度は今までに感じたことがない。
飲みに行かずに体が絞れた。
今まで少しでも歩くようにしたり筋トレしたりしていたのがなんだったのかというぐらいに、ただ生活していて体が痩せていくというのは奇妙にも感じた。このままどんどん痩せていったらどうしようと恐怖すら感じるほどに。
僕の日常生活が変わりつつある。