僕と誰かの日常の記録/妄想文章

個人的なブログ。永遠のど素人が一級建築士試験を受けてみた。小説や映画の感想。思いつきで書く創作的文章など。

まさかだろ?

また甲子園ネタです。
今年はゆっくり甲子園が見れていいなぁ。。

お盆休みに入った休日の今日、なんとなくNHKにチャンネルを合わせて高校球児の熱戦をぼんやりと眺めていた。
チャンネルを合わせた時点で試合は8回。点差は7点差。
各チームの力量からいっても、このまま、リードしているチームの勝利は揺るがないように見えた。
用事があった僕は、9回の途中の時点でTVを消して外に出た。

所用を終えて帰る。
自宅で腰を落ち着けて、習慣的に覗いたスマートフォンのニュースサイトには、驚きの内容があった。

そんなはずはない。
フェイクニュースかと思ったほどに、さっきまで見ていた試合の結末は意外で、かつ、劇的だった。
9回を終わった時点で劣勢だったチームは同点に追い付いており、そしてなんと、13回に逆転した!
結果的には、8回時点で7点差をつけられていたチームがそれを引っくり返して勝利をおさめていたのだ。

僕は驚き、同時になんとも言えない恥ずかしさを感じた。

誰が無理だと思おうと、勝敗が決まったと言いきろうと、試合が終わるまでそれを結論づけられる人間はいないのだった。

実際、TVを眺めていた僕は、あのまま試合が終わることを疑いもしなかった。だからこそ中座して用事をすませに行ったのだ。結果、一番見所のある瞬間を決定的に見逃し、ネットニュースを見て悔やんでいる。今夜の熱闘甲子園は絶対に観なければいけない。

ギャラリーの反応なんて無責任だ。
逆境に向かっていこうとしている全ての人へ、勇気が与えられる結果だった。

自分の常識を知らぬ間につくってやしないか。
そこから逸脱したものを脳内で排除したりしてはしないか。気をつけよう。

真剣にプレイする当事者の熱量は、したり顔のギャラリーの評価を飛び越えて、ときに奇跡的な結果を叩き出すことがある。

僕も、十代の少年の頃にいくつか、そんな経験をしてきたはずだったのに。
奇跡に憧れて、それがあると信じていたのに。

年齢を重ねるということで、経験則による部分が多くなるのはしょうがないけれど、そのとき僕は、ゆっくりとこぼれ落ちていって今ではすっかりと失われたものに気づいた。

奇跡。

奇跡、なんて、後から周りの人達が勝手につけた名前だろう。ギャラリーは僕らの全てを知らない。潰れた血豆の数や、悔しくて隠れて泣いたあの夜の数を知らない。

プレーする当事者にとっては、それは奇跡でもなんでもない、努力に対しての当然の報酬だったりするのだ。ある場合には。