僕と誰かの日常の記録/妄想文章

個人的なブログ。永遠のど素人が一級建築士試験を受けてみた。小説や映画の感想。思いつきで書く創作的文章など。

製図とペンだこ

製図試験が終わってから、製図試験用の文房具で普段使いできるものはそのまま自宅で使用している。

そのなかでも、そのペンがふと視界に入る度に、試験の紆余曲折を思い出して感傷的な気持ちになるものがある。
そのuni アルファゲルのシャープペンシルは紛れもなく僕の命運を変えてくれたペンである。

2016年一級建築士設計製図試験『子ども・子育て支援センター』。本試験に向け練習を重ねるも、9月頃から記述の文字を書いているとペンを握っている右手の指が痛み、どうしても字が雑になってしまっていた。

根気がなく痺れを切らせて雑な字を書いているわけじゃない。それがもどかしかった。
痛い、早く書き上げないと指の感覚もおぼつかない、といった状況でそれでも一字一句を丁寧に(気持ちを込めて?)書き上げるのは僕には難しかった。込めるべき気持ちが怨念のような『痛い』それのみになってしまう。

痛い痛いと思い続けながらも、ペンを吟味する余裕もなくあっさりと2016年は幕を閉じた。

リベンジの2017。
『小規模なリゾートホテル』

2年目の設計製図は長期コースでスタートした。
合格に1㎜でも近づくことはなんでも試みると決めた僕は、過去に受験した人たちが使っていたらしいシャープペンシルを購入し片っ端から試してみた。

結果、製図用のペンは重心が程よくペン先に残るステッドラー925に決定(それまでは本当に色々試して悩んだ)、あとは、どうしても記述の時の指先の痛み、痺れ、それに伴う握力の低下を解決しなければいけなかった。

シャープペンシルの先にはめる柔らかいキャップのようなものも売っていると聞いたが、購入先がよくわからなかったため、とりあえず、アマゾンで目についたuniのアルファゲルを購入し試してみることにした。
グリップが、衝撃吸収ゲルというものでできているらしい。高所からそのグリップと同じ素材に卵を落としても、クッションのように力を吸収して割れないという文句にも惹かれた。

ペンを握ってみると、慣れない独特の感触に戸惑った。なにか、ゼリーのように柔らかい。

でも、記述を一式書き上げても、あのじんじんとくる痛みがない!ということは、痛みからくるヤケクソ化から逃れられる。初めは違和感のように思えた柔らかさは、使っているうちに指に馴染んでくるようになった。適応力。

僕はあたらしいメンバーにアルファゲルを加えることにした!

学生時代、野球をしていた時分には手のひらのタコが努力の証のようなことが言われていたが、僕はタコを眺めて自己陶酔に浸ることをやめた。
タコをつくらずに能率が上がる方々があれば迷わずにそちらを選択する。賢くなった。でもそれがすこしだけ寂しくもある。とにかく僕はもう三十路なのだ。

記述用のペンとしてuni アルファゲルを導入してから、僕は、指先の痛みからの開放、それによる文字の丁寧と記述中の思考のゆとりを得た。
(指先の感覚がぐだぐだになっていると、早く終わらせたくなって、思考も浅くなってしまうものだ)

アルファゲルの件は、合格するために、やはりというか、道具選びも大切だと痛感した出来事だった。

製図のペン選びに関わらず、今まで当たり前だと思っていた環境が、何かを変えた瞬間に劇的に改善したって経験、ないだろうか。なんだったんだろうか今までの無謀な努力は、という具合に。

もしも打破したい現状があるのなら、今までの自分を置いてきた環境を疑って変えてみるのも面白い。

例えば、長年相棒のように使っていたペンをある日突然違うペンに変えてみたり、とかね。