まるで一級建築士のバーゲンセールだな…。
特別な才能なんて要らない。たぶん。
勉強できる環境や少しの要領の良さ、その大前提は膨大な試験範囲を網羅してやるという気概。
そういうものが複合的にうまく噛み合えば、少なくとも数年では合格するものなのかもしれない。
合格を知ったとき、僕は嬉しかった。
なぜなら、この事実を認めることは今ではすこし複雑な気分であるけれど、自分が一つの目標に向かってこんなに努力した経験は、今まで数えるほどしかなかったから。
また次の目標を見つけないといけない。
いつまでも浸っている僕は、自分でも可笑しい。
紙一重で落ちたとき、自分はベストを尽くした、もうこれ以上できないと思った。
でもそれは僕の思い込みだった。試験勉強というたったひとつのカテゴリの中でだけれど、限界を思い知ったあとにだって、突き詰めて深化していけることを僕は初めて知った。
これからも、他のジャンルでも、自分で設定した限界を越えてみたい。そんなことを思うようになった。
気力が続くまでの旅だ。