僕と誰かの日常の記録/妄想文章

個人的なブログ。永遠のど素人が一級建築士試験を受けてみた。小説や映画の感想。思いつきで書く創作的文章など。

深夜にひとりごちている(ウイスキーを飲みながら)

ずっと考えていたことがあった。

心の海の中に錨のように沈んでいるそのことは、僕の根元であり、とらえようによっては、僕にとってのプラスでもマイナスでもある。

一級建築士試験に合格し、社会的には評価が上がったように感じる。僕にしては上出来である。

でも、建築士を志した過程で、僕は、けして自分には到達できないであろう世界を知ってしまった。
たとえば、プロスポーツ選手の超一流とその他選手の境界線が、プレイしている当事者だからこそくっきりと理解できるように。
社会での交流を重ねていくうちに、そのくらい才能がある人達と知り合えたことは光栄だ。
同時に僕は迷うことになる。
劣等感を抱えたまま、自分が何者かはまだわからない。戸惑っている。可笑しいかもしれない。年齢が年齢だから。


どう生きていく?


でも、それもいいんじゃないか、と思う、もうひとりの自分がいる。
『どうにもならないことなんて、どうにでもなっていいこと』
ブルーハーツが歌っていた。
なにかを諦めるわけじゃない。
ただ僕が本当に納得できる人生を探したい。それだけ。



ジェリーマクガイアの声が脳内で響く。
『僕は35歳。これからが人生だ。』

中学生の時に初めてこの映画を観た。
邦題『ザ・エージェント』。
それから100回は繰り返し観ている。
大抵は落ち込んだり迷った夜だ。

トム・クルーズが扮する、やり手だけれど顧客の幸せを省みないスポーツエージェントは、顧客の子供に言われた一言を引き金に良心に目覚める。
しかし、顧客に親身になるということは必ずしも自社の短期的な利益にはつながらない。提案書を書いた彼は会社をクビになってしまう。
それから自分ひとりの会社をつくり、もがき悩みながらも周囲の人との関わりの中で自分らしい生き方を築いていく話。

十代、二十代の頃は意識しなかったけれど、気付けば、僕はすでにジェリーマクガイアと同じ年代に差し掛かっていた。

転機の時なのか。

見つけることができるかもしれない。
それは根拠もなく、でもしっかりと僕の中にある。
いま、建築家なんてものからは遠いところにいるのだけれど、僕はこの世界で、自分の踊るべき舞台を自分で作り出す。

そのときは名前をつけよう。
自分がやっていることを他者に伝えることができるよう、わかりやすい名前を。